古物営業許可には営業所が必要です!

 国や地方自治体に対して何らかの許認可を申請する際、その申請が許可されるかどうかは様々な要件をクリアしているかどうかで判断されます。例えば建設業許可なら500万円の財産が無ければなりませんし、専任技術者を置く必要があります。また、宅建業許可なら専任の宅地建物取引士が必要だったりします。同様に、古物営業許可にもクリアすべき要件が設定されています。

 古物営業許可では建設業許可のような財産的要件はありません。また、他の許可のように実務経験や特別な資格を持った管理者を置くようにも指定されていません。そういった意味では新規参入するうえで間口が広いですね。

 ですが、古物営業許可では営業所を設置することが求められています。そこで今回は、古物営業許可を取れる営業所とは?をテーマにお話ししていきます。

①営業所とは?

 まずは古物営業許可でいう営業所とはどんなものであるかについて確認しておきましょう。

◆古物の買い取りや仕入れ、交換やレンタルなどを行う拠点

 古物の買い取りや仕入れを行うための拠点は営業所とされます。一般的な例としてはリサイクルショップをイメージしてもらうと分かりやすいでしょう。来店したお客さんから「買い取りカウンター」で古物を買い入れ、売り場には買い入れた古物が並びます。

 リサイクルショップのような業態は、経営者が法人であることが多いです。一方で個人が古物商を営む場合、営業所を設置する必要があるのか?という疑問がでてきますよね。実際、古物営業許可申請書では営業所について「営業所あり」と「営業所なし」から選択できるようになっています。一見すると営業所なしでも良いのかと思ってしまいますが、現実にはそうもいきません。

②原則として営業所が必要

 個人と法人とを問わず、営業所は必要になると思ってください。警察の担当者に問い合わせると、ほとんどの場合「原則必要なので営業所を用意してください」と言われます。

 では営業所を置かずに許可を申請するのはどのような場合かというと、車やリアカーを移動させながら行商するといった特殊なケースが想定されます。相当昔のビジネスモデルが対象なので、現在は営業所なしでの申請は、まず許可が下りないと考えて良いでしょう

◆インターネット上で古物営業をする場合でも必要!

 近年ではインターネット上で古物を仕入れ、インターネット上で販売するような業態が多くなっています。実態として店舗があるわけではないのですが、この場合でも「営業所あり」で申請する必要があります。このようなケースでは、事務作業をする拠点が営業所という扱いになります

 事務作業に関わる機器を備えていれば営業所として申請することができます。パソコンやプリンターを備えていて、営業することが可能であれば問題ありません。

③営業所とはみなされない場所

◆単に販売のみを行う店舗

 古物の仕入れや買い取りを行わず、交換やレンタルも行っていない店舗は営業所とすることができません。

◆バーチャルオフィス

 店舗としての実態が無い場所は営業所とすることができません。

◆保管するだけの場所

 倉庫や物置などは営業所と認められません。

④自宅を営業所とする場合の注意点

 個人が申請する場合であっても営業所が必要なのは上記した通りです。ですが、現実問題として営業所を事業用に賃貸するのはコストが負担になります。ですので、自宅を営業所として申請したい方が多いのではないでしょうか。
 結論から言えば自宅を営業所として申請することは可能です。しかし、自宅と言ってもその形態は様々ですので、注意すべき点もあります。

◆持ち家の一軒家

 自宅が持ち家の一軒家である場合、申請で問題となることはほとんどありません。自己の所有物ですので自由に開業し、経営することが可能です。

◆賃貸物件

 アパートなどを賃貸している場合、持ち家と違って契約書などの提出が必要になります。まずは貸主と契約をしたときに受け取った賃貸借契約書があるはずですので確認しましょう。
 契約書の禁止事項に、営業所や事務所等としての使用を禁止する項目がないかチェックする必要があります。もし禁止の項目があった場合は、別の物件を契約する必要が出てきます。
 また、アパートなどの賃貸借契約は居住目的で契約しているはずですので、申請にあたっては貸主の方から事務所としての使用承諾書をもらう必要があります。使用承諾書を作成して、貸主に署名押印してもらいましょう。
 賃貸借契約書と使用承諾書があれば、営業所として申請することが可能です。

◆分譲マンション

 分譲マンションは自己の所有物ですので、自由に使用できると思うかもしれません。しかし、分譲マンションであっても管理規約で商用利用が禁止されていることがあります。その場合は管理組合から使用承諾を受けなければなりません。

⑤レンタルオフィスは使える?

 レンタルオフィスの場合、営業所として許可が下りるかはケースバイケースになります。

 一般的なレンタルオフィスでは、パーテーションで利用区画が区切られていることが多いです。このような形態の場合、事務所の独立性がないとみなされて許可が下りません。しかし同じレンタルオフィスであっても、個室の利用が可能な場合は判断が変わってきます。個室が利用できて営業所としての独立性があるとみなされれば許可が下ります。

 この辺は警察の担当官の判断次第ですので、事前に警察と相談して確認しておきましょう。せっかくレンタルオフィスを契約したのに、許可が下りなくては無駄な出費になってしまいます。

⑥まとめ

◆古物営業許可には営業所が必要

◆自宅を営業所として申請することは可能

◆賃貸の場合は①賃貸借契約書②使用承諾書が必要

◆レンタルオフィスは場合によって利用可能

 インターネット上で取引するにしても、扱う商品が古物なら古物営業許可が必要です。そして許可の申請にあたっては必ず営業所を用意しなくてはなりません
 古物は13品目に区分が分かれていますので、取り扱う商品の区分を判断する必要があります。また申請にあたっては事前に、警察や役所と打ち合わせを行わなくてはなりません。
 平日に時間がとれない、手続きのやり方が分からない、そんなときは専門家に相談してみることをお勧めします。


 弊所では古物営業許可申請の手続き代行を行っております。警察や役所との打ち合わせから書類の提出まで代行しますので、お客様が警察や役所に出向く必要はありません。また法人設立、他の許認可申請も取り扱っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。初回相談は無料で承っております。