外国人の子供は日本の学校へ通わせるべき？｜行政書士飯田尚久のあれこれブログ

　弊所には日々様々な相談をいただいておりますが、お子さんの進学についての相談もその一つです。親が日本で働いていて、母国にいる子供を日本に呼ぶ場合の在留資格は「家族滞在」となりますが、家族滞在の在留資格はフルタイムでの労働ができない点に注意が必要です。そこで進学については、子供が成長して大人になってから日本で働くかどうかが重要な判断基準になります。家族滞在から就労可能な在留資格に変更する予定なら、子供の進学先は慎重に決めるのが良いでしょう。

①家族滞在での労働は週２８時間まで

　家族滞在の方がパートやアルバイトをするときに必要となるのが資格外活動許可です。資格外活動許可については以前に取り上げていますので、ぜひ目を通してみてください。

　家族滞在で入国した子供が学生であるうちは、週２８時間のアルバイトで十分かもしれません。しかし、学校を卒業して大人になってからも週２８時間のアルバイトでは困ってしまいますよね。もちろん学校を卒業したら母国に帰る場合は問題になりませんが、日本で働きながら引き続き生活するには家族滞在からの変更が必要です。

　外国人の方の子供が、日本で働くには在留資格の変更をしなければなりませんが、コレがそう簡単ではありません。外国の高校を卒業後に大学へ進学して学位を取得し、学んだ専門知識を生かして働くなら在留資格の変更が可能となりますが、大学進学自体が簡単なことではありませんし、日本語能力試験Ｎ１の合格が必要となります。

　日本語能力試験Ｎ１は、日本語で大学の講義を理解することができ、丁寧語やビジネス会話が詳細に把握可能なレベルとされています。合格率も３０％ほどと低く、よほど勉強熱心な学生でないと難しいでしょう。

　そこで、外国の学校から大学に留学して在留資格の変更を狙うルートではなく、日本の高校を卒業して在留資格の変更を狙うルートをご紹介します。

②日本の高校を卒業するのは大事

　高校卒業から在留資格の変更をするには、まず大前提として、子供が１７歳までに日本に入国する必要があります。そして日本への入国後、小・中・高校のうちどこに入学するかによってルートが変わってきます。

◆小学校に入学

　日本で生まれたか、小学校までに来日して日本の小学校に入学するルートです。この場合、小学校⇒中学校⇒高校と進学、卒業して就職内定を取ることができれば「定住者」の在留資格に変更することが可能です。定住者の在留資格には就業制限がありませんので、幅広い業種で自由に働くことが可能です。

◆中学校に入学もしくは高校に最初から入学

　日本の中学校・高校に入学するルートです。この場合、中学校⇒高校と進学、卒業して就職内定を取ることができれば「特定活動」の在留資格に変更可能です。特定活動の在留資格の場合、風俗営業法に定められた職場では働くことができませんが、それ以外に就業制限はありません。定住者と同じく、幅広い業種で働くことが可能です。

◆高校に途中から編入

　外国の学校から日本の高校に途中編入するルートです。小学校入学・中学校入学・高校の最初から入学するルートとの大きな違いは、高校卒業と就職内定だけでなく日本語能力試験Ｎ２の合格が無ければ、特定活動の在留資格が得られない点です。日本語能力試験Ｎ２はＮ１ほど難関ではありませんが、一般的なビジネス会話が理解可能なレベルの能力が要求されますので、日本入国から日の浅い学生には難関資格と言っていいでしょう。

◆インターナショナルスクールは要注意

　在留資格の変更については日本の高校を卒業する必要があります。インターナショナルスクールは原則として認められませんが、文部科学省の認定を受けたインターナショナルスクールなら変更が認められます。しかし、認定を受けたインターナショナルスクールは一般的に学費が高額ですので、進学を予定するなら注意が必要ですよ。

③おすすめは中学校までに日本の学校へ入学すること

　言葉も違い、文化も違う日本の学校に通学することは、外国人の子供にとっては勇気が必要です。小学校以下の小さな子であればまだしも、中学生・高校生の子供にとっては生活の変化が怖いのは無理もない話です。

　ですが、もし大人になっても日本で生活していきたいなら、フルタイムで働くことができる在留資格を得るのはとても重要です。そして、そのためには日本の高校を卒業するのが最も近道と言っていいでしょう。

　おすすめは日本の中学校へ入学することです。高校と違って入学試験がありませんし、子供の日本語能力に応じた学年への編入を許可してくれるケースが多いです。まずは地元の教育委員会に相談し、子供を受け入れてくれる学校を探しましょう。自治体によっては教育委員会が日本語教室を紹介してくれたりもします。中学校へ入学し、日本語を勉強しながら高校入学を目指して対策を取るのが良いでしょう。