近年、多くの産業で人手不足が叫ばれています。特に飲食店やスーパー、コンビニなどの小売店では人手不足を補うため、積極的に外国人の方を雇用する傾向が強まっています。
本来、外国籍の方が日本国内で仕事をしてお金を稼ぐには、就労可能な在留資格を持っていなければなりません。例えば「技能」や「技術・人文知識・国際業務」などが、いわゆる就労系やワーキングビザと呼ばれる在留資格です。その一方で、「留学」の在留資格を持って日本の大学や専門学校に通う学生や、「家族滞在」の在留資格を持っている主婦の方は仕事をすることが認められていないのですね。
ですが、「留学」や「家族滞在」の在留資格であっても、許可を得ることでアルバイトやパートで生活費を稼ぐことが可能になります。その許可が「資格外活動許可」です。「資格外活動許可」を取得することで、1週間に28時間までは働くことができるようになります。
①資格外活動許可はなぜ28時間という中途半端な時間なの?
「資格外活動許可」ではフルタイムで働くことはできません。あくまで本来の在留資格である「留学」や「家族滞在」の負担にならない範囲で働いてください、というのがこの制度の基本的な考え方です。
「留学」の在留資格をもつ学生にとって、一番大事なのは学校で勉強することです。そんな学生にフルタイムで働く許可を与えてしまうと、学業が疎かになってしまいます。そうならないように28時間を限度に許可を出しているのです。
②28時間を超えてしまうと本人だけでなく雇用主も罰則の対象に!
労働時間が週に28時間を超えてしまうと、働いた本人だけでなく雇用した側にも罰則が科されることになります。
働いた本人は1年以下の懲役または禁錮、200万円以下の罰金、またはそれらの両方の罰則が科される可能性があります。またビザの更新や変更ができなくなってしまうので、帰国せざるを得なくなってしまいます。最悪の場合、退去強制となることもあります。そうなると、その後5年間は日本に入国できません。
外国人を雇って働かせた雇用主は不法就労助長罪に問われることになります。刑事事件として扱われますので、逮捕・拘留されるかもしれません。罰則は3年以下の懲役、または300万円以下の罰金、またはその両方を科されることになります。また雇用主は、故意に28時間を超えて働かせた場合だけでなく、過失であっても処罰対象になりますので注意が必要です。
③ダブルワークしていない?しっかり確認しましょう!
週28時間が限度ですので、もしその外国籍の方がダブルワークをしていると簡単に超えてしまいます。働く本人だけでなく、雇用する側も就労時間のチェックは必ずしておきましょう。
④まとめ
◆在留資格が「留学生」や「家族滞在」の方が働くには資格外活動許可が必要
◆資格外活動許可で働けるのは一週間に28時間まで
◆28時間以上働いてしまうとビザの更新ができなくなってしまう
28時間を超過してしまうと在留資格の更新が認められなくなってしまうので、後の生活に大きな影響が出てしまいます。うっかり超過してしまうことの無いように、日ごろからこまめなチェックを心がけましょう。