さて、前回では定款の作成についてお話ししましたが、今日は次のステップを軽く見ていきましょう。
①出資の履行
会社の設立の企画者として定款に署名又は記名押印した人は発起人となります。この発起人が会社成立時の株主となるわけですね。
ちなみに発起人は自然人(ようするに人)でも法人でも構いません。
発起人は設立時発行株式を引き受けたのちは遅滞なく、引き受けた株式について全額の払い込みをしなければなりません。この払い込みは法務省令で定められた銀行、信託会社などに対して行います。
そして前回も軽く触れましたが、定款の変態設立事項に関しては裁判所が選任した検査役による調査がなされ、検査役は裁判所に結果を報告することになります。
この検査には免除事由が定められているので以下に挙げておきます。
1・対象となる財産の価格が500万円を超えない場合
2・対象となる財産が市場価格のある有価証券で定款記載の価額がその価格を超えない場合
3・現物出資、財産引受が相当であることについて、弁護士・弁護士法人・公認会計士・監査法人・税理士又は税理士法人の証明を受けた場合
ようするに重要性が小さくて過大評価や過小評価が無さそうなら検査役は不要ということですね。
②設立時取締役の選任
発起人は出資の履行が完了したら、遅滞なく設立時取締役を選任しなければなりません。定款であらかじめ設立時取締役を定めている場合には、改めて選任する必要はありません。
ここでいう設立時取締役はあくまで会社設立に際して取締役(会計参与、監査役、会計監査人)となる人のことで、業務内容を決定したり執行するわけではありません。会社法では設立時取締役と、設立後の取締役は別の存在として扱っているのですね。
ただ、中小企業などでは設立時取締役がそのまま設立後の取締役に就任することが多ようです。任期についても事業規模が大きな公開会社の場合は2年、個人事業主が法人化したような非公開会社なら10年と事業形態に合わせて定款に記載するのが良いと思います。
さて、選任された設立時取締役のお仕事は何なのかと言いますと、発起人の会社設立に向けた手続きや出資が問題ないかをチェックすることです。
・現物出資された財産が定款に記載された価額と相当か?
・専門家の証明を受けた場合の証明は相当か?
・出資の履行は完了しているか?
・手続きが法令や定款に違反していないか?
会社設立に向けた一連の手続きに問題がなければ、いよいよ本店の所在地において設立の登記を行います。登記申請書類を完成させて法務局に提出しましょう。
会社の設立登記申請については私たち行政書士ではなく、司法書士の管轄になります。もちろん発起人が自作して登記書類を揃えることは可能です。ただ相当の手間と時間がかかってしまいますので、自作するのか司法書士に依頼するのかを検討していく必要はあるでしょう。
私たち行政書士は定款作成からの一連の手続きをサポートし、必要があれば司法書士の紹介も可能です。また会社設立に際して許認可が必要な場合(飲食店営業許可・古物営業許可など)は、行政庁に提出する許認可申請書類の作成も承っています。創業当初に受けやすい補助金の申請など、気になったことや不安なことはお気軽にご相談ください。
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