何か事業を起こしたい、ビジネスを始めたいときにまず行うのが株式会社の設立ですよね。
会社法上は合同会社や合名会社などの「持ち分会社」もありますが、今回はわかりやすく株式会社を例にとって見ていきたいと思います。
持ち分会社の話はまたの機会で。
株式会社の設立は主に4つの段階を経て実態が完成します。
① 定款の作成
② 株式発行事項の決定と株式の引き受け
③ 出資の履行による会社財産の形成と株主の確定
④ 機関(取締役など)の決定
これらを全部クリアして、設立する会社の本店所在地を管轄する法務局に会社の登記を申請してついに会社成立となります。
登記申請は司法書士の先生に依頼することになりますのでご注意を。
そして会社を作りたい人がまず最初に直面するのが「定款作成」というわけです。
定款は会社の憲法とも言われる重要な書類で、これが出来上がらないと次に進めないのです。
この定款には必ず記載しなければならない「絶対的記載事項」、記載しなければ効力を発しない「変態設立事項」があります。
絶対的記載事項 | 変態設立事項 | |
① | 目的 | 現物出資 |
② | 商号 | 財産引受け |
③ | 本店の所在地 | 発起人の報酬 |
④ | 設立に際して出資される財産の価額 又はその最低額 | 設立費用 |
⑤ | 発起人の氏名又は名称及び住所 | 株式の内容制限事項 |
⑥ | 発行可能株式総数 |
特に変態設立事項は悪用や濫用がありえるので裁判所が選任した検査役による調査を受けることになります。記載するにあたっては注意が必要です。
現金ではなく不動産や車などの動産でもって出資するのが現物出資ですが、実際の価値と帳簿上の価値に差があった場合資本の空洞化が生じてしまいます。たとえば100万円の価値しかない車を800万円と計算して帳簿をつけていたために700万円の価値が実は存在しなかった、なんてことになってしまいます。そういった事態を避けるための検査役なんですね。
その他にも定款には注意点が多数あります。たとえば必ず「株式会社」という文字を入れる、有名な商号は使用できない、法律で使用が禁止されている文字は使えないといった具合に細かなチェックが欠かせません。「目的」についてもその適法性、営利性、明確性などに気を配る必要があります。
定款ができあがったら本店を設置する都道府県の公証役場で認証を受けることになります。この時、電子定款(パソコン等で作成したPDFファイル)であれば電子署名して認証を受けることができます。もちろん従来の紙定款でも可能ですが、印紙代の4万円を節約したいなら電子定款を作成するのがおすすめです。ただ個人で自作する場合は電子署名に必要な機材を購入する代金が高く付くかもしれません。
今回はざっとですが定款作成に関するお話をさせてもらいました。会社設立にあたっては様々な手続き、準備が必要になりますが、そんな時に定款作成に時間と手間がかかってしまうのは負担になりますよね。私たち行政書士は法律文書作成のプロとしてお手伝いをしています。自分でやるのはキビシイな、そんな時は街の法律屋さんとしての行政書士に相談するのがおすすめです。
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