風俗営業許可申請を考えている方は、出店予定地がどの「用途地域」に属するかをチェックしておきましょう。
大事なのは物件の「賃貸借契約を結ぶ前」にチェックすることです。用途地域によっては、そもそも風俗営業が許されないですので、内装工事をした後に「この建物では営業できなかった!」なんて悲劇は回避しましょう。
①用途地域とは
用途地域については、都市計画法において詳細が定められています。そして都市計画法1条ではこの法律の目的について以下のように示しています
「都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もつて国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする」
都市計画法が施行されたのは昭和43年(1968年)です。高度経済成長の真っ只中、まさに日本中で土地開発や不動産売買が過熱していた時代にこの法律は施行されました。その目的は悪質な業者による無秩序な土地開発を抑制し、計画的な都市開発を推進することにあります。
用途地域は当初8種類でスタートしましたが、その後に行われた複数回の法改正を経て13種類が定められています。主に住居を建てることを目的とした住居系8種類、商業活動を目的とした商業系2種類、工業を目的とした工業系3種類となります。
②どの用途地域なら営業可能?
用途地域全13種のうち、住居系とされる8種類については風俗営業が許可されません。また住居系と商業系にまたがって建設された建物の場合も、営業が許可されない点に注意してください。
風俗営業をするなら人通りや駅からのアクセス等を考えると、商業系の地域で出店することが多いでしょう。しかし、工業系の地域について禁止されているわけではありません。ところが、工業系地域と近隣商業地域については建築基準法で規制がかかっています。
風営法では禁止されていないのに、建築基準法では扱いが違うというのもおかしな話でが、これについては各自治体や警察と相談しながら申請を進めていくことになります。
③用途地域の調べ方は?
用途地域については多くの自治体がインターネット上で情報を公開しています。市役所のホームページから調べられることが多いので、まずは検索してみましょう。
地域によっては用途地域が指定されていない場合があります。これはその地域が「市街化調整区域」にあるか、もしくは「非線引き都市計画区域 」で用途地域を設定していない「非線引き白地」にあるケースです。
市街化調整区域については多くの自治体で店舗の出店が制限されています。そもそも農地や昔ながらの住環境を保全するため、開発を制限しているのが市街化調整区域ですので、風俗営業に限らず店舗の出店、建物の建築は難しいケースが多いです。
非線引き都市計画区域とは、市街化区域・市街化調整区域の区分けをしていない地域です。多くは小都市の郊外などにあり、人が生活する居住エリアと自然が残っているエリアの区分けが漠然としていて区分けができない地域です。この区域では、自治体が用途地域を指定しているケースと未指定のケースがあります。未指定の場合、比較的規制が緩いので建物を建てたり店舗を出店することはできますが、そもそも電気・ガス・水道といったインフラが整っていないことがあります。
④まとめ
◆不動産の契約前に用途地域を調べよう
◆住居系の用途地域で風俗営業はできない
◆役所のHPで出店予定地をチェック
風俗営業については都道府県ごとに条例で規制を受けますので、ご当地のルールを調べていく必要があります。風営法だけでなく、建築基準法、消防法なども関わってきますので、ひとつずつ警察や役所、消防署と協議していきましょう。
弊所では警察や消防との協議から、お店の測量と図面作成、申請書の作成まで一貫して承っております。自分で申請するのが難しい、図面を作れない、警察に行く時間が取れない、そんな時はぜひご相談ください。