風営法ってどんなもの?

 夜の歓楽街には飲食店だけでなく、クラブやキャバレーといったお酒を提供するお店が数多くありますよね。

 一般的な飲食店であれば【飲食店営業許可】を取得することで営業が可能になりますが、キャバクラなどでは【風俗営業許可】も併せて取得する必要があります。

 ではいったい何が違うと【風俗営業許可】が必要になるのか?という点については、あまり詳しく知らない方が多いのではないでしょうか。

 そこで今回はそもそも風営法とは何なのか?をテーマにお話ししようと思います。

①風営法とは

 風営法の正式名称は【風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律】と言います。長ったらしいので風営法と省略するのが一般的です。

風営法の目的

・善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止する

・営業時間、営業区域等を制限し、及び年少者をこれらの営業所に立ち入らせること等を規制する

・風俗営業の健全化に資するため、その業務の適正化を促進するなどの措置を講ずる

 風営法第一条には以上の目的が書かれています。
 平たく言うと「未成年者は立ち入り禁止」「営業時間は深夜0時まで」「営業できる区域は決まっている」「掲示する写真や広告、装飾に制限がある」といったところでしょう。

 実際に申請を行っていく段階になると、一般的な飲食店営業許可とは比べ物にならないくらい大量の確認事項がありますので、許可を得るまでは一苦労です。

②風俗営業許可が必要な営業とは?

 風営法の適用を受ける業態は多数ありますが、今回取り上げるのは実際の申請件数が多い風俗営業許可第1~5号、深夜酒類提供飲食店営業についてです。

 特定遊興飲食店営業(ナイトクラブ、スポーツバー)や店舗型性風俗特殊営業届出(ソープランド、ファッションヘルス、ラブホテル等)については後日取り上げる予定です。

第1号営業[社交飲食店・料理店等]

 クラブやキャバレー、バー等が該当します。最大の特徴は【客を接待する】営業形態であることです。

第2号営業[低照度飲食店]

 喫茶店やバーが該当します。営業所内の照度を10ルクス以下として営業するのが特徴で、第1号営業に該当するものは除外されます。
 10ルクスがどの程度の明るさか?というと、まず新聞は読めないような明るさです。
 一般的な屋内用蛍光灯が300~450ルクスですので、10ルクスだとテーブルの上にLろうそくの灯りが1つ載っていて、ギリギリ相手の顔が見える程度の明るさになります。いかにも雰囲気のあるバーといった風情ですね。

第3号営業[区画席飲食店]

 喫茶店やバーが該当します。他から見通すことが困難で、なおかつ広さが5㎡以下の小さな客席を設けて営業するカップル喫茶や相席酒屋などです。

第4号営業[マージャン店・パチンコ店・その他遊技場]

 マージャン店やパチンコ店などです。設備を設けて客の射幸心をそそる恐れのある遊戯をさせる営業が該当します。

第5号営業[ゲームセンター等]

 スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で、本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるものを備える設備により、客に遊技をさせる営業が該当します

深夜酒類提供飲食店[カウンターバー・スナック等]

 深夜0時以降にお酒を提供して営業する場合は深夜酒類提供飲食店営業の届け出が必要です。
 ラーメン屋や牛丼屋といったお店は許可を得る必要がありません。提供するメニューのうち、酒類がどの程度の割合を占めているか、主食を提供しているのかによって許可が必要かどうか判断されます。

③接待するなら風俗営業許可が必要

 風営法第2条3項は接待に関して以下のように規定しています。

この法律において「接待」とは、歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすことをいう

 条文だけではいまいちピンとこないかも知れません。
 具体的にはホステス、ホスト等が客の隣に座って談笑したりお酌をするのは接待に該当します。また歌唱、ダンス、遊戯等も接待に含まれますので、カラオケを設置する場合は注意が必要です。
 お客が自分で勝手に歌うなら接待になりませんが、デュエットしたり誘ってしまうと接待に該当します。

ガールズバーは接待にあたるか?

 ガールズバーは女性の店員がカウンターバーからお客の相手をします。
 隣に座るわけではないので一見すると接待に該当しないように見えますが、場合によっては接待とみなされるケースがあります。実際に風営法の無許可営業で逮捕者が出ていますので、その判断は慎重に行わなければなりません。

 接待したと受け取られても違法にならないよう、風営1号許可を取ると深夜営業ができません一方で深夜営業をするために深夜酒類提供飲食店営業の届出をした場合は、接待したと警察に判断されないための慎重な営業が求められます

 ガールズバーの開業は専門家や警察としっかり相談しながら進めていくべきでしょう。

④風俗営業は営業時間に制限がある

 風俗営業許可を取って行う第1~5号の営業は、深夜0時までしか営業することはできません

 例外として、条例等で定められた地域(告示地域)においては午前1時までの営業が可能とされています。このような地域は営業延長許容地域と呼ばれ、それぞれの都道府県が独自に地域を指定しています。

 深夜酒類提供飲食店営業の届出を行った場合は0時以降も営業できますが、風俗営業許可を取得した場合は深夜酒類提供飲食店営業の届出はできません

 深夜酒類提供飲食店営業の届出をしたのに、お客さんを接待してしまうと風営法違反として摘発対象になってしまいますよ。

⑤まとめ

接待をする場合は風営許可が必要

風営許可を取った場合は営業時間が制限される

深夜酒類提供飲食店営業の届出と風営許可は同時に取れない

1~5のどれで許可を申請するかによって営業形態に大きな影響がある

 今回は風俗営業許可について軽くご説明しました。

 風俗営業許可申請は、一般的な飲食店の営業許可申請と比べ物にならないくらい必要書類が多くなります。
 また警察のチェックも厳しくなりますので、店舗の内装だけでなく、用途地域や保全対象施設との距離も確認しなければなりません

 条例の確認や必要書類の作成なども考えると、専門家に相談するのがおすすめです。

 弊所では飲食店の営業許可申請とあわせて、風俗営業許可申請、補助金申請サポート、法人設立なども承っております。
 初回相談は無料ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。