産業廃棄物の収集運搬業では、車両と船舶を用いて収集や運搬の業務を行うことになります。主に使われるのはトラックをはじめとした車両ですが、一口に車両と言ってもその種類は多岐にわたります。
そこで今回は、産業廃棄物の収集運搬で用いる車をテーマにお話ししようと思います。
①運搬車両について
収取運搬に用いられる車両は主に平ボディ車、ダンプ車、脱着装置付コンテナ専用車、タンクローリー保冷車などがあります。
これらの車種の多くはディーゼルエンジンを採用しているため、各都道府県によるディーゼル車規制の対象になる点に注意してください。
②平ボディ車
平ボディ車とは、荷台がフラットな形状になっているトラックで、荷台の屋根がないタイプをいいます。農作業で使われる軽トラを想像していただけると分かりやすいでしょう。
平ボディ車の利点は何といっても汎用性にあります。屋根がないため高さのある物や長さのある物を積載することが可能で、フォークリフトやクレーンを用いた重量物の積載も楽です。
荷台にはあおりと呼ばれる囲いが付いていて、一般的には左右と後方の3方向を開放することができます。あおりの材質はアルミ、鉄、木製など様々で、車両によっては5方向に開放することができるものもあります。
平ボディ車は構造が単純なため壊れにくく、購入価格も安いため非常に高い稼働率を誇っています。
平ボディ車には荷台の高さが異なるタイプの車両があり、それぞれメリットとデメリットがあります。
◆高床:タイヤが大きく荷台も高い位置にある。タイヤが大きいため振動吸収性に優れ、走破性も良いが荷物の上げ下ろしが大変。普通のトラックはこのタイプ。
◆低床:後輪のタイヤが小さいため荷台の高さが低く地面に近い。荷物の上げ下ろしが断然楽になるが、車両価格が高い。
平ボディ車は荷台に屋根がありませんが、荷台に屋根があるタイプはドライバンと呼ばれます。
大型トラックではドライバンが普及したため、平ボディ車は減少傾向です。
積載した荷物を風雨にさらすことができない場合等は重宝しますが、産業廃棄物の収集運搬では汎用性に劣りますし購入価格が高いというデメリットもあります。
②ダンプ車
荷台を傾斜させて土砂などをまとめて下すことができるタイプの車両です。
ダンプには主に土砂ダンプと土砂禁ダンプの2種類があります。土砂禁ダンプはその名前の通り、土砂の積載ができないモデルです。土砂禁の場合は車検証の備考欄に土砂等禁止車という記載があります。
土砂禁ダンプは土砂ダンプに比べて荷台のあおりが高いのが特徴で、土砂以外の様々な廃棄物や製品の輸送に用いられています。
土砂禁ダンプはあおりが高いため、規制に背いて土砂を積むと膨大な量を積むことができますが、当然過積載などの違反になりえます。
③脱着装置付コンテナ専用車
あまり聞きなれない車種だと思いますが、産業廃棄物の収集運搬ではとても人気のあるタイプです。
特徴は何といっても荷台部分のコンテナを切り離すことができる点でしょう。車体のフレームに油圧式のアームが装着されていて、コンテナを自力で脱着することができます。
工事現場や工場などにコンテナを設置し、ある程度廃棄物の量がたまってから後日回収する、といった運用が可能です。
④タンクローリー車
産業廃棄物の中で、廃油に該当するものを運ぶ場合はタンクローリーがあると便利です。もちろんドラム缶などの運搬容器を平ボディ車に積んでも良いのですが、タンクローリー車なら廃油タンクから直接流し込んで運搬することが可能です。
一度の輸送で大量の廃油を効率よく収集運搬することができますし、ドラム缶に移しかえる手間が省けます。
※廃油は危険物に該当する場合があります!
危険物は消防法によって細かく規定されていますが、廃油はその種類によっては危険物に該当することがあります。
危険物の≪移送≫には、その危険物の種類に応じた危険物取扱者の乗車が必要です。
タンクローリーで危険物を運ぶ = 移送
ドラム缶に詰めた危険物を平ボディ車で運ぶ = 運搬
タンクローリーの場合は移送にあたるので有資格者の乗車が必要ですが、平ボディ車は運搬にあたるので有資格者は必要ありません。
⑤まとめ
◆産業廃棄物の収集運搬では平ボディ車が便利
◆ダンプは土砂等禁止車がある
◆コンテナを設置して後日回収するなら脱着装置付コンテナ専用車がおすすめ
◆廃油の移送ならタンクローリーが便利だが有資格者が必要になることも
今回は産業廃棄物収集運搬で使われる主な車両をご紹介しました。
実際の現場ではこの他にもユニック車やパッカー車、チップ車など様々な種類の車両が使用されています。
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