産業廃棄物収集運搬業、処分業と許可区分

 様々な事業を行うと必ず発生してしまう産業廃棄物。一口に産業廃棄物といってもその種類は様々ですが、その運搬や処理にあたって必要な許可も分かれています。
 そこで今日は産業廃棄物の収集運搬や処分業と、その許可区分についてお話ししようと思います。

①そもそも産業廃棄物って?

 何が産業廃棄物に該当するかについては、廃棄物処理法第2条第4項と、廃棄物処理法施行令第2条に規定されています。
 産業廃棄物とは事業活動によって排出された廃棄物のうち、法定化されているものに限られている点に注意してください。

◆廃棄物処理法第2条第4項

燃え殻汚泥廃油
廃酸廃アルカリ廃プラスチック

◆廃棄物処理法施行令第2条

紙くず木くず繊維くず
動物又は植物に係る固形状の不要物と畜場や食鳥処理場で処理した不要物ゴムくず
金属くずガラスくず、コンクリートくず、陶磁器くず鉱さい
新築や改築、除去に伴って生じたコンクリートの破片などのがれき類動物の糞尿動物の死体
ばいじん産業廃棄物を処理するために中間処理した物で、上記19種に該当しないもの

 産業廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染症、その他の健康や環境に被害を与えるおそれがあるものは、特別管理産業廃棄物として区分され処理方法等が別に定められています

◆特別管理産業廃棄物

(引火性)廃油(腐食性)廃酸(腐食性)廃アルカリ
感染性産業廃棄物※廃ポリ塩化ビフェニル(PCB)等※ポリ塩化ビフェニル(PCB)汚染物
※ポリ塩化ビフェニル(PCB)処理物※廃水銀等※指定下水汚泥
※重金属等を一定濃度を超えて含む鉱さい※廃石綿等(アスベスト)※廃油(廃溶剤)
※特定有害産業廃棄物

②産業廃棄物処理業は扱う産業廃棄物によって許可区分が違います

 産業廃棄物処理業の許可は6つの区分に分かれています。特別管理産業廃棄物はその性質から許可の申請に対して厳格な審査が行われます。
 注意していただきたいのは、特別管理産業廃棄物とその他の産業廃棄物では許可の融通は効かないということです。

特別管理産業廃棄物の許可を取っていても、産業廃棄物は扱えない。逆もしかり。

 また収集運搬業の場合は運搬の途中で積替え、保管を行うかどうかで許可の区分が異なります。

1・産業廃棄物収集運搬業(積替え保管を除く
2・産業廃棄物収集運搬業(積替え保管を含む

3・特別管理産業廃棄物収集運搬業(積替え保管を除く
4・特別管理産業廃棄物収集運搬業(積替え保管を含む

 もちろん中間処理・最終処分についても産業廃棄物と特別管理産業廃棄物は別々の許可が必要です。

5・産業廃棄物処分業(中間処理・最終処分)
6・特別管理産業廃棄物処分業(中間処理・最終処分)

③収集運搬業の積替え保管とは?

 収集運搬業許可では積替え保管を行うかどうかで、許可の得やすさに違いが生じます。
 積替え保管を行わない場合は、廃棄物を収集したら処分場へ直行することになります。
 一方で、積替え保管を行う場合は収集した廃棄物を一時保管場所で集積し、まとめて処分場に持って行くことができます
 毎回処分場まで行くよりも効率的でコストカット効果が期待できますが、許可を得る際の審査が厳格化されます。

 許可取得の難易度はこんな感じです。

収集運搬業(積替え保管を無し)<収集運搬業(積替え保管をあり)<中間処理施設<最終処分施設

④許可申請先が多い

 廃棄物処理業の許可申請は、複数の都道府県にまたがって申請することが多いという特徴があります。
 まず提出するのは廃棄物の排出元を管轄する都道府県です。そして処分場を管轄する都道府県にも提出しなければなりません。

 例えば、東京都内で排出された廃棄物を扱うなら東京都知事に許可申請します。
 もし処分場が都内にあるなら申請は東京都だけで済みますが、処分場が福島県だった場合は福島県知事にも申請しなければなりません。
 積替え保管をするための一時保管場所が埼玉県なら、埼玉県知事にも申請が必要です。

 処分場は都市部から離れた地域にある場合が多いので、申請手続きは複数の都道府県に同時進行で行うことになります。

⑤まとめ

◆産業廃棄物と特別管理産業廃棄物はそれぞれに許可が必要
◆収集運搬業では積替え保管の有無で許可難易度が違う
◆複数の都道府県に許可申請が必要になる

 今回は産業廃棄物収集運搬業、処分業の許可区分についてお話ししました。
 ここで取り上げたのは、あくまでほんの入り口の話です。実際の許可申請では様々な要件を満たすことを証明しなければなりません。
 代表者は講習を受けたか?運搬車両と保管容器は適切か?債務超過に陥っていないか?
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