死亡保険に加入している方が亡くなると、死亡保険金が受取人に支払われることになりますが、相続においてはこの保険金も相続税の対象となります。
そこで今回は死亡保険金が相続でどのように扱われるかをテーマにお話ししようと思います。
①死亡保険とは?
死亡保険とは「人が亡くなることによって保険金が支払われる保険」のことです。
生命保険と何が違うの?というと、生命保険は「人の生死に関連して保険金が支払われる保険」ですので個人年金保険等も含まれます。死亡保険は生命保険の一種と言ってよいでしょう。
②死亡保険は主に3種類
死亡保険はその内容から3種類に分けることができます。
◆終身保険
保険期間が定められておらず、一生涯の保障を受けることができます。解約した場合は今まで払い込んだ保険料の一部を解約返戻金として受け取ることができます。長期間にわたって契約した場合、解約時の返戻金が払込額を上回ることもあるため、貯蓄を兼ねて保障を受けることができます。
◆定期保険
保険期間の定めがあり、その期間中に対象となる人が亡くなった場合のみ死亡保険金が支払われます。終身保険と違い、解約した場合に解約返戻金を受け取ることができません。また保険期間が満了して契約が終了した場合も、死亡していませんので解約返戻金はありません。いわゆる掛け捨て保険といわれるもので、終身保険に比べて保険料が安いというメリットがあります。
◆養老保険
定期保険と同じく保険期間の定めがあり、その期間中に対象となる人が亡くなった場合に死亡保険金が支払われます。養老保険の大きな特徴は、保険期間の終了時に対象の人が生存していた場合も死亡保険金と同額の満期金が受け取れる点です。確実に保険金を受け取ることができる反面、保険料が高くなりますので注意が必要です。
③死亡保険金には非課税額がある
死亡保険金は残された遺族の大切な生活資金としての側面があります。そのため相続人が受取人となっている場合に限り、死亡保険金は相続人の人数に応じて非課税とされる金額が決まっています。
500万円 ✕ 法定相続人の人数 = 死亡保険金非課税額
例として被相続人である夫Aが2000万円の死亡保険契約をしていて、妻Bと子C・Dが法定相続人だった場合は以下のようになります。
死亡保険非課税金額
500万円 ✕ 3(法定相続人の人数) = 1500万円
死亡保険金 - 非課税金額 = 課税金額
2000万円 - 1500万円 = 500万円
この場合、2000万円の死亡保険金のうち課税対象になるのは500万円です。
④死亡保険金は契約によって課される税金が違う
死亡保険金は契約の仕方によって課される税金の種類が違ってきます。
◆ 保険料の負担者=被保険者 【相続税】
契約者である夫が自分自身に保険をかけていて、受取人を妻にしているようなケースです。この場合は妻が死亡保険金を相続により取得したとみなされます。
配偶者が受取人の場合は配偶者控除などの適用が受けられるため、税額が0円になることが多いです。
◆ 保険料の負担者=受取人 【所得税】
契約者である夫が妻に保険をかけていて、夫が受取人となっているケースです。この場合だと夫自身が払ったお金を、自分で受け取ることになりますので一時所得とみなされます。一時所得の課税対象金額は以下の手順で算出します。
①受け取った保険金の総額から既に払い込んだ保険料の額を差し引いて「差益」を算出する
②差益から一時所得の特別控除額50万円を差し引いたものが一時所得
③一時所得を2分の1にしたものが課税対象金額
◆ 被保険者≠保険料の負担者≠保険金の受取人 【贈与税】
契約者は夫で妻に保険が掛けられており、子供が受取人に指定されているようなケースです。この場合は贈与とみなされますので、死亡保険金から贈与税の基礎控除110万円を差し引いた金額が贈与税の対象となります。
⑤死亡保険金は受取人の固有財産である
死亡保険金は受取人の固有財産とみなされますので、相続財産ではありません。
相続税の対象になるので勘違いしがちですが、あくまで受取人の固有財産ですので遺産分割協議の対象にはなりません。死亡保険金とは別に残された財産については遺産分割協議の対象になります。
相続財産ではないので、もし受取人が相続放棄していたとしても死亡保険金を受け取ることができます。
⑥まとめ
◆死亡保険は主に3種類
◆相続人が受取人の場合は非課税額がある
◆死亡保険金は契約によって税金が違う
◆死亡保険金は受取人の固有財産である
死亡保険金はまとまった金額が支払われるため、その扱いには気を付けてください。今回はあまり言及しませんでしたが、遺産分割協議において特別受益とみなされる可能性もあります。
他に残っている財産の金額によっては相続税の申告が必要になりますので、財産調査はしっかりと正確に行いましょう。財産調査に漏れがあると、相続税の修正申告や延滞金の支払い、遺産分割協議のやり直しをすることになるかも知れません。不安があったり、手続きをする時間がないときは専門家に相談することをおすすめします。
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