相続の手続きは銀行や保険会社、登記所から運輸支局までさまざま行いますが、その都度に被相続人(亡くなった方)と相続人の法律上の関係を証明しなければなりません。
被相続人と相続人の関係を証明するには戸籍一式を提出する必要がありますので、手続きが煩雑なうえ銀行や保険会社も内容を確認するのに時間がかかります。
このような問題を改善するため、平成29年から法定相続情報証明制度がスタートしました。この制度によって、戸籍一式を毎回提出する手間がなくなり手続きがスムーズに行えるようになっています。
そこで今回のテーマは法定相続情報証明制度についてです。
①法定相続情報証明制度とは
被相続人と相続人の法律上の関係について、登記所(法務局)が法定相続情報一覧図によって証明してくれる制度です。
従来は戸籍一式を銀行、保険会社、登記所などに毎回提出して確認してもらい、戸籍一式を返却してもらってから次の手続きを行っていましたが、法定相続情報一覧図を利用することで複数の手続きを同時進行することができるようになりました。
②法定相続情報証明制度の利用方法
◆1 必要書類を収集する
まずは必要になる書類を取集しなければなりません。主に戸籍謄本と住民票を集めていくことになりますので、被相続人の本籍等を確認してそれぞれ役所に申請していきます。
必須書類
・被相続人の戸籍謄本
出生から死亡までの連続した戸籍謄本と除籍謄本を取得する必要があります
・被相続人の住民票の除票
・相続人の戸籍謄抄本
相続人全員の現在の戸籍謄本又は抄本が必要です
・申出人(相続人の代表となって、手続きを進める人)の氏名、住所を確認することができる公的書類
場合によって必要な書類
・各相続人の住民票記載事項証明書(住民票の写し)
法定相続情報一覧図に住所を記載する場合は必要になります。なお記載するかどうかは任意です。
・委任による代理人が申出の手続きをする場合は委任状
親族が代理する場合は申出人と代理人が親族関係にある事がわかる戸籍謄本
・被相続人の住民票が取得できない場合は戸籍の附票
被相続人の死亡から時間がたってしまうと、戸籍の除票が廃棄されている場合があります
◆2 法定相続情報一覧図の作成
被相続人の戸籍を収集したら、その情報に基づいて法定相続情報一覧図を作成します。家系図のようなものですが、相続人を書いていけば良いので家系図を作るよりは楽です。法務局がホームページで公開している見本を見ながら、パソコンを使ってエクセルで作成していきます。
戸籍の見方や法定相続人が誰になるのかを理解していないと、一覧図の作成は難しいかもしれません。
◆3 申出書を記入して登記所へ申出
申出書に必要事項を記入したら、収集した戸籍謄本とパソコンで作成した法定相続情報一覧図をあわせて登記所に提出します。登記所は被相続人の本籍地、被相続人の最後の住所地、申出人の住所地、被相続人名義の不動産の所在地から選ぶことができます。
③申出に関連する豆知識
◆手数料はかからないので無料で利用できる。ただし、戸籍謄本の取得は手数料を払わなければならない
◆提出した戸籍謄本は一覧図の交付時に返却してもらえる
◆一覧図に相続人の住所を記載するかは任意だが、不動産の相続登記申請をする場合等には住所の記載が必要
◆一覧図が追加で必要になった場合は再交付してもらえる
法定相続情報証明制度は非常に便利な制度なので、相続手続きを進めていくなら取得するのをおすすめします。しかし取得しようにも戸籍の収集と相続人の定めはしなければなりませんので、相続に関する最低限の知識は必要になってきます。
法定相続情報証明制度の申出は弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、そして私たち行政書士に依頼して委任することが可能です。申出の手続きにとる時間が無い、平日に役所へ行くことができない、そもそも相続手続き自体が良く分からず相続人が誰か分からない、そんなときは専門家に相談して委任することを検討しても良いでしょう。
弊所では相続手続きのサポートを行っております。相続人を定めるための戸籍収集から法定相続情報一覧図の申出、財産調査、遺産分割協議書の作成、遺産の名義変更まで幅広くお手伝い致します。初回相談は無料で承っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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