相続のような権利や義務にかかわる重要な手続きの際には、役所から印鑑登録証明書の提出を要求されることがとても多いです。ですが普段の生活で印鑑登録証明書が必要になることはそんなにありませんので、印鑑登録証明書と言われてもどのような物か良く分からない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は印鑑登録の手続きをテーマにお話ししていこうかと思います。
①実印と認印
事務仕事などをしていると、実印や認印という言葉をよく聞きますよね。
この2つの違いは自治体への印鑑登録の有無ですので、自治体に登録している印鑑は実印、登録していない印鑑は認印と呼ばれます。
自治体の役所で印鑑登録することの意味は、役所が『この印鑑は確実に私のものです』という公的な証明をしてくれることにあります。重要な書類に実印で捺印し、印鑑登録証明書をあわせて提出することによって、間違いなくその書類に捺印したのは自分であることを証明できるのです。印鑑で本人確認しているようなものですね。
②どんな印鑑が使えるの?
◆自治体によってサイズの規定は異なっていますので、お住いの自治体に問い合わせる必要があります。「8mmの正方形に収まらず、25mmの正方形からはみ出さないもの」としている自治体が多いようです。
形は丸だけでなく、楕円や角印でもかまいません。
◆劣化しやすいゴム印やシャチハタは不可です。大量生産品(三文判)は陰影が同じになりやすいため不可とする自治体もあります。
◆家族が登録している印鑑は不可です。
③印鑑登録の申請方法
印鑑登録の申請は、本人が登録する印鑑を持参して役所の窓口で申請する必要があります。
申請に必要な書類は窓口に備え付けてありますが、自治体によってはホームページでダウンロードすることも可能です。
印鑑登録には本人確認が必要になります。主な方法は下記の3つです。
①運転免許証・パスポートなどで確認
官公署発行の顔写真が添付され、浮出プレスまたは割印などがある身分証明書を提示する。
②市内で印鑑登録している人に保証人になってもらう
申請書類に保証人となってくれた人が実印を押し、印鑑登録番号等の必要事項を記入して申請者が本人であることを保証してもらう。
③身分証明書が無く保証人もいない場合は文書照会で行う
①と②の方法がとれないときは、まず申請書を提出して自分宛てに照会書を郵送してもらう。
同封されている回答書に必要事項を記入し、健康保険証、年金証書などを持って改めて窓口で手続きする。
※本人が役所の窓口に行けない場合は代理人に申請してもらうことが可能です。この場合はまず、委任状(自治体によっては書式に指定があります)を持った代理人が申請書を窓口に提出し、本人宛に照会書を郵送してもらいます。届いた照会書には回答書が入っていますので、必要事項を記入します。記入ができたら再度、代理人に窓口へ行ってもらって手続きを行います。
④印鑑証明書の取り方
印鑑登録が完了すると、印鑑登録証というカードが交付されます。このカードを持って役所の窓口に行き、備え付けてある交付申請書と一緒に提出すると印鑑登録証明書を発行してもらうことができます。
また印鑑登録証を使えば、代理人が印鑑登録証明書を取得することも可能です。この場合は委任状などは必要ありません。
窓口での手続きは自治体によって若干違うことがあるので、役所のホームページなどで確認しておくと良いでしょう。
⑤マイナンバーカードを使った取り方
窓口ではマイナンバーカードを使って印鑑登録証明書を取得することも可能です。ですがマイナンバーカードは本人以外は使用できませんので、代理人による印鑑登録証明書の取得には使えません。
またマイナンバーカードならコンビニのマルチコピー機で印鑑登録証明書を発行することができます。一方、印鑑登録証のカードはコンビニで使えませんのでご注意を。
⑥印鑑登録は引っ越すと無効になる
印鑑登録を行った自治体から他の市区町村に引っ越した場合、印鑑登録は無効になってしまいます。具体的には引っ越しに伴って転出届を提出した段階で印鑑登録は自動で抹消されてしまいます。ですのでわざわざ廃止の届け出をする必要はありません。
引っ越した先でも印鑑登録証明書が必要な場合は、引っ越した先の役所に転入届を出して住民票を移し、そのうえで改めて印鑑登録をし直す必要があります。
※引っ越し先が同一の市区町村内であれば、転居届を提出すると住所が自動で変更されるので改めて印鑑登録の手続きをする必要はありません。
⑦まとめ
◆印鑑登録は身分証明書があって役所に行けるなら即日で完了
◆身分証明書が無い場合は保証人でも可能
◆照会書を使う場合&代理人を使う場合は時間がかかる
◆引っ越しすると無効になってしまうので登録しなおそう
相続の手続きでは印鑑登録証明書が必須になりますので、もしまだ登録をしていないなら早めに印鑑登録を済ませてしまいましょう。身分証明書を持っていて、自分で役所に行けるなら即日で完了するような簡単な手続きです。
車や自宅を購入したときに印鑑登録を済ませていても、その後に引っ越ししてしまうと登録からやり直しです。ご自身の印鑑登録が済んでいるか、事前に確認しておくとスムーズに相続手続きを進められます。
相続手続きでは多数の書類作成が必要で、実印の押印を求められることも多いです。また財産調査や銀行預貯金の名義変更、遺産分割協議までやることはいっぱいあります。もしご自身でやりきれない、手続きに不安があるなら専門家に相談しましょう。
弊所では相続手続きを全面的にサポートしております。初回相談は無料で承っておりますので、是非お気軽にお問い合わせください。誠心誠意お手伝いさせていただきます。
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