飲食店営業許可 施設基準をチェックしましょう

 飲食店営業許可に限らず、一般的に行政機関から何らかの許認可を取得する際に必要な要件は主に、人&物&金の3つとなります。

 飲食店営業許可に必要な人の要件「食品衛生責任者」については以前取り上げました。また物の要件のうち「用途地域による制約」についても以前お話ししました

 そこで今回のテーマは物の要件第2弾「施設基準」についてです。

 実は飲食店営業許可に「お金の要件」というものはありません
 建設業許可や宅建業許可のような〇〇万円以上の資金が必要、〇〇万円の営業供託金が必要という制限が無いので、人と物の要件さえクリアしてしまえば営業許可を取得することができるでしょう。

①営業施設の基準とは

 飲食店はその性質上、食中毒等が発生しないように衛生対策を徹底することが求められます。また害虫やネズミの侵入を防止するための対策も重要です。

 これらの対策には各都道府県が条例で細かく基準を定めていますので、申請に際しては各都道府県ごとの基準を確認する必要があります
 そこで今回は千葉県を例に主な基準について軽く説明していこうと思います。

 細かな基準まで取り上げると膨大な量になってしまうので、主要な点をピックアップしていきます。

 施設基準は大別すると営業施設・食品取扱設備・給排水及び汚物処理の3つに分かれていますので、それぞれ順に確認していきましょう。

②営業施設の構造

 店舗の壁面や天井、床、換気設備などについての基準です。飲食店の場合は壁面や床に不浸透性材料を用いなければならない点に注意してください。
 居抜きで開店する場合であっても、構造変更されていたりそもそも前に営業していた店舗が無許可営業していた場合は、基準に適合していないかもしれません。ひとつずつチェックしていく必要があります。

③食品取扱設備

 食品の取り扱いに使用する設備や機械についての基準です。洗浄しやすい状態になっているか、故障していないか等をチェックしていきましょう。

④給水・排水及び汚物処理

 水回り、トイレ回りについての基準です。トイレについては専用の手洗い場が必要とされています。また廃棄物容器、清掃用具を備え付けなければなりませんので用意しておきましょう。

⑤簡易な飲食店営業は一部の基準が緩和される

 既製品でそのまま飲食できるような食品を、開封、加温、盛り付けるなどして提供する店舗は簡易な飲食店営業に該当します。

 本格的な調理無しに営業する業態ですので、普通の飲食店営業許可に比べて施設基準が緩和されています

 具体的な例としては喫茶店やサロンその他、酒類以外の飲物や茶菓を提供する場合や、キッチンカー、仮設店舗、露店、臨時営業施設などがあります。

 床や内壁については不浸透性材料ではない材料を使用できますので、カーペット等を用いて内装をおしゃれに演出することができます。また調理場への入り口にロープやチェーンをかけることで申請が認められる場合があります。

 ただ、この簡易な飲食店営業については自治体によって判断が異なる場合がありますので、慎重に申請を行う必要があるでしょう。

⑥まとめ

施設・食品取扱設備・給排水設備及び汚物処理の施設基準をチェック

施設に使用する材質にも規制がある

簡易な飲食店営業は一部の基準が緩和されている

 施設基準の規定については、今回取り上げたものが全てではありません。また都道府県、自治体によって基準が若干違う点にも注意して申請する必要があります。

 普通の飲食店営業であれば営業時間の制限はありませんが、風営法の適用をうける業態では営業時間の制限がありますし、酒類を深夜に提供する場合は【深夜酒類提供飲食店営業届】を提出する必要があります。

 基準を読んだだけでは具体的なイメージがしずらい項目も多いですので、不明点や不安な点については役所又は専門家に相談することをお勧めします。

 弊所では飲食店の営業許可だけでなく、風俗営業許可申請、深夜酒類提供飲食店営業届、補助金申請サポートなども承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。