中古品の取引には古物営業許可が必要になります。どんな物品が古物にあたるか?については以前に軽く説明していますので、ぜひ見てみてください。
中古品の取引と言っても、その形態はさまざまです。ネットオークション、店舗を構えてのリサイクルショップ営業、中古品を国外に輸出することもあれば逆に輸入することもあります。そのすべてに許可が必要かというと、そうではありません。許可が不要な取引の形というものもあるのです。
そこで今回は、許可が必要とされるのはどのような取引か?をテーマにお話ししようと思います。
①業として行うときは許可が必要
個別のケースを見ていく前に、古物営業法が定めている基本をチェックしていきましょう。
古物営業法では、古物の売買等を「業として行う」場合には許可が必要であるとしています。「業として行う」というのは利益を出そうという意思があり、ある程度継続して行っていることを指します。
ここで重要なのが、利益を出すことを目的としているかどうかの判断は、本人の意思ではなく、客観的にそう見えるかどうかで判断されるという点です。本人は業として行っているつもりがなくても、その行動や資金の流れから業としていると判断される可能性があります。
②許可が必要となるケース
ではさっそく具体的なケースを見ていきましょう。これから行おうとする売買は許可が必要かどうかの判断基準にしてください。
①古物を買い取って売る
②古物を買い取って修理して売る
③古物を買い取って使える部品などを売る
④持ち主から依頼を受けて、売れた後に手数料をもらう(委託販売)
⑤古物を別のものと交換する
⑥古物を買い取ってレンタルする(DVDやCDのレンタル)
⑦国内で買った古物を国外に輸出して売る
⑧ネットオークションで購入した物を、ネット上で販売する
ここで挙げた例を見ていただければわかる通り、古物の売買から利益を得ようとする取引には古物営業許可が必要となってきます。
店舗を設けてリサイクルショップを営業する場合はもちろん許可が必要ですが、利益を出すためにインターネット上で取引する場合も許可が必要になります。実店舗の有無ではなく、利益を出す意思の有無で判断されますので注意してください。
③許可が不要なケース
次に許可が必要ない取引のケースを見ていきます。
①自分の物を売る
②インターネットオークションで自分の物を出品する
③無償でもらったものを売る
④自分が売った相手から、打ったものを買い戻す
⑤自分が海外で買ってきたものを国内で売る
⑥小売店で購入した新品を転売する
自分の物を売る場合や、新品を購入して転売する場合は許可を必要としません。そもそも古物営業法の目的は、窃盗品や犯罪被害品の流通を防止し、犯罪を抑止することですので新品は対象にならないわけです。
中古品を売ったとしても、最初から利益を出す意思で仕入れていない場合は許可は必要ありません。自分で使うつもりで中古のブーツを買ったけど、サイズが合わなくて使えなかったからネットオークションで売却した、こういったケースでは許可は不要です。また継続性がない場合には許可は不要ですので、フリーマーケットで不用品を売るときなどは許可を必要としません。
④許可の要不要の判断は慎重に
許可が不要なケースであっても、場合によっては許可が必要と判断される場合があるので注意してください。
◆売買に継続性がある場合
ネットオークションで中古品を購入し、それをネットオークションで転売するようなケースでは許可が必要です。一方で、新品で購入した物品をネットオークションで転売するようなケースでは許可は必要ありません。
最近話題になる転売ヤーですが、自分で新品を買って転売するなら許可は不要です。しかし、アルバイトを雇って商品を買い占め、ネットオークションで転売するようなケースでは話が変わってきます。この場合、アルバイトが買った時点でその商品は古物に該当します。たとえ未開封の未使用品であっても、一度取引された以上は古物です。その古物をアルバイトから仕入れてネットオークションで転売するわけですから、法律上は許可が必要とみなされるでしょう。また、ネットオークションは取引履歴がしっかりと残りますので、過去に何度も出品が繰り返されていれば継続性があると判断される可能性は高いです。
もし中古品を仕入れて継続的に売っていると判断された場合は、警察による摘発を受ける可能性があります。
古物営業法違反による無許可営業(古物営業法31条1号)
懲役3年以下または100万円以下の罰金もしくは併科
必要な許可を受けずに営業した場合、懲役や罰金が科されます。当然、警察に逮捕され身柄を拘束される可能性もあります。
もしご自身の取引に許可が必要か、それとも不要なのか判断に迷ったら、最寄りの警察署か専門家に相談しましょう。
⑤まとめ
◆業として古物を売買するなら許可が必要
◆古物を仕入れて売るときは許可が必要
◆新品を仕入れて売るときは許可は必要ない
◆許可の要不要は慎重に判断しよう
実際には、今回挙げたような典型的なモデルに当てはまらないケースがしばしばあります。そんな時は自治体や警察に問い合わせたり、直接会って打ち合わせを行うことになります。ところが、古物営業の具体的判断はケースバイケースで、同じ内容でも自治体や警察によって回答が異なることも珍しくありません。
古物営業許可申請は行政や警察と何度も相談しながら進めていくことになりますので、事務手続きに時間と手間がかかってしまいます。そんな時は専門家に相談するのがおすすめです。行政書士に手続きを依頼した場合、行政や警察とのやり取りは全て代行してくれます。
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