「もったいない」というのは日本にしかない言葉だ、なんて話を聞いたことはないでしょうか?元をたどると仏教の教えにたどり着くのだとか。
物の本来の価値が失われることを惜しむ気持ちを「もったいない」と表現しますよね。江戸時代はなんでもリサイクルしていたそうですし、日本人にとってはしっくりくる考え方なのかもしれません。
そんなもったいない精神が発揮されているのかは分かりませんが、近頃は使い終わった物を捨てるのではなく、中古品として取引するケースがとても多くなっています。特にネットオークションを通じた売買はすっかり一般的になってきました。一部では転売ヤーと呼ばれる人々が、新商品を買い占めて価格が高騰している事例もありますね。
中古品の売買が身近なものになった今、リサイクルショップの経営にビジネスチャンスを見出そうという方もおられるのではないでしょうか。そこで今回は古物営業法とは?をテーマにお話ししようと思います。
①古物営業法とは
中古品やリサイクル品などの古物を取引するときのルールを定めた法律が古物営業法で、その目的は2つあります。
①規制を設けて窃盗などの犯罪発生を防止する
②被害をすばやく回復することができる社会を維持する
古物の売買はその性質上、どうしても盗品や犯罪被害品が混入する可能性があります。犯罪被害品が社会に流通し、大きな利益を出してしまっては犯罪を助長しかねません。そんな事態を回避するため、古物営業法で適切に規制して管理しよう、というわけです。
②古物とは
一度でも使用された物品、新品であっても使用のために取引された物品については古物とされます。たとえ使用されていなくても、売買や譲渡が行われた場合は古物になります。いわゆる新古品については古物扱いです。
また古物を新品同様にメンテナンスしたとしても、あくまで古物扱いとなります。
③古物13品目
具体的にはどのような物品が古物にあたるのかというと、古物営業法施行規則によって13品目に分類されています。
①美術品類
あらゆる物品について、美術的価値を有しているもの
例) 絵画・書・彫刻・工芸品・登録火縄銃・登録日本刀
②衣類
繊維製品、革製品などで、主に身にまとうもの
例) 着物・洋服・敷物類・布団・旗
③時計・宝飾品類
使用する人の好みで選ばれ、身につけて使用される飾り物
例) 時計・眼鏡・宝石類・装飾具類・貴金属類、万歩計
④自動車
自動車と自動車のパーツや部品
例) 車体・タイヤ・バンパー・ミラー・カーナビなど
⑤自動二輪車及び原動機付自転車
自動二輪車、原付き自転車、その他の部品やパーツ
例) 車体・タイヤ・ミラーなど
⑥自転車類
自転車と自転車のパーツや部品
例) 車体・空気入れ・カゴ・カバーなど
⑦写真機類
プリズム、レンズ、反射鏡等を組み合わせて作った写真機、顕微鏡、分光器等
例) カメラ・レンズ・ビデオカメラ・望遠鏡・双眼鏡・光学機器
⑧事務機器等
計算、記録、連絡などの能率を向上させるために使用される機械及び器具
例) パソコン・ワープロ・コピー機・ファックス・シュレッダー・計算機
⑨機械工具類
電機によって動く機械及び器具、他の物品の生産・修理などのために使われる機械及び器具
例) 工作機械・土木機械・医療機器類・家庭電化製品・家庭用ゲーム機・電話機
⑩道具類
その他の12種類に掲げられていないもの
例) 家具・楽器・運動用具・CD・DVD・ゲームソフト・玩具類・トレーディングカード・日用雑貨など
⑪皮革・ゴム製品類
皮革又はゴムから作られているもの
例) 鞄・バック・靴・毛皮類・化学製品(ビニール製、レザー製)
⑫書籍
例) 文庫・単行本・新書・コミック・雑誌など
⑬金券類
例) 商品券・ビール券・乗車券・航空券・各種入場券・各種回数券・郵便切手・収入印紙・株主優待券など
取り扱うものがこれら13品目に該当する場合、古物営業許可が必要になります。
④古物に該当しないもの
古物13品目に該当しないものを取り扱う場合、古物営業許可は不要です。具体的な物品は以下のようなものです。
◆実体がないもの
例) 電子チケット・ギフトなど
◆消費して無くなるもの
例) 食品・酒類・薬品・化粧品など
◆原材料になるもの
例) 金属原材料・空き缶類など
◆アクセサリー等でない貴金属
例) 金塊・金貨・プラチナなど
◆運搬が容易でない機械(重量1トン超)
◆運搬できない機械(重量5トン超)
◆船舶(総トン数20トン以上)
◆航空機
◆庭石や石灯籠
古物営業法の目的は盗品等の売買を防止し、犯罪被害品を速やかに発見することです。そのため盗難される危険性が低いもの、発見が容易なものは古物になりません。
また加工を必要とする金属原材料なども盗まれにくいと考えられているため古物に該当しません。
⑤まとめ
◆古物取引には古物営業許可が必要
◆古物は13の分類に分かれている
古物営業許可を取る必要があるのかは、取り扱う品目によって判断する必要があります。何が該当し、何が該当しないのかの判断に迷ったら、警察の生活安全課などに問い合わせてみましょう。また、許可申請の手続きは多数の書類を集めて警察と打ち合わせを行わなければなりません。もし手続きに不安があったり、時間がとれない場合は専門家に相談することをお勧めします。
弊所では古物営業許可の申請代行から、新規の法人設立手続きまで幅広くサポートしております。法人の古物営業許可に必要な定款変更なども可能です。
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