飲食店を営業するには食品衛生責任者が必要です

 飲食店営業許可はほとんどの飲食店において必要になります。
 許可が必要な業種は32種類あり、業種によっては届出は必要とされますが許可までは必要ないこともあります。

 以前、許可を要する業種についてはお話ししていますので見てみてくださいね。

 さて今回のテーマは、飲食店営業許可申請に際して確認しておくべき人の要件です。
 どんなに設備が整っていても、人の要件をクリアしていないと許可は下りませんので注意してください。

①食品衛生責任者が必要

 飲食店営業許可を取得するには、食品衛生責任者を選任しなければなりません。

 食品衛生責任者の役割とはその名の通り、営業者の指示に従って食品衛生の管理運営にあたる事です。

 食品衛生責任者は店舗従業員の中から1名選出します。

食品衛生責任者は兼任できるの?

 運営者は食品衛生責任者を兼務することができますので、オーナーシェフの方は食品衛生責任者を兼務していることがほとんどです。
 レストランやカフェだけでなく、キッチンカーやネットショップで手作りした食品を販売するようなケースでも食品衛生責任者は必要になります。
※飲食店経営者が料理長も兼ねているのがオーナーシェフです

 食品衛生責任者は各店舗につき1名必要ですので、複数の店舗を構える場合は店の数だけ責任者を置かなければなりません。1人で複数の店舗の食品衛生責任者を掛け持ちできない点に注意してください。

②食品衛生責任者の役割

 食品衛生責任者の役割について、東京都食品衛生協会は以下のようにしています。

 具体的な役割をざっと挙げてみましょう

衛生管理表を作成して掃除や手洗いを徹底させる

調理器具の取り扱い方法を指導する

食品の衛生的な取り扱い方法を指導する

従業員の体調管理を行い、場合によっては休ませて感染症等の予防に努める

古くなったまな板、調子の悪い冷蔵庫などを交換させ食中毒予防に努める

講習会に参加して最新の情報を把握し、従業員に共有・周知させる

 食品衛生責任者の役割については、各都道府県が条例で定めているので細かな規則などにはローカルルールが存在します
 仔細については各都道府県ごとに確認が必要です。

③食費衛生責任者になるには?

 食品衛生責任者となるには2つの方法があります。

調理師等の資格を持っている

 調理師や栄養士などの国家資格を持っていれば、保健所へ「資格者証の原本」を提出することで食品衛生責任者となることが可能です。

食品衛生管理者は一定の実務経験や学歴が必要な国家資格です。食品衛生責任者・食品衛生管理者はともに国家資格ではありますが、食品衛生管理者の方が資格取得は難しくなりますので、食品衛生責任者の上位資格と言っていいでしょう。

食品衛生責任者になるための講習会を受けた人

 新規に飲食店営業許可を申請する場合、こちらの方法をとられる方はとても多いです。

 講習会は2時間ほどで終わる簡単なもので、最後にテストがありますがそう難しいものでもないので真面目に講習を聞いていれば問題ありません。事前の試験対策が必要なほどではないです。

 また他の都道府県で講習を受けたことがある人は、講習を受けなおす必要はありません。食品衛生責任者の資格は全国どこでも有効です。

④食品衛生責任者は更新の必要がない資格

 資格や許可証といったものには有効期限が定められているものも多いです。
 例えば運転免許証は色に応じて有効期限が決まっていますよね。

 飲食店の営業許可についても更新が必要となりますが、その期間は都道府県の保健所ごとに異なっています。

 一方で食品衛生責任者に有効期限はありません
 更新を忘れて失効してしまった、といったことは生じない資格です。

定期的に講習会に参加しよう

 食費衛生責任者の役割は常に新しい情報をチェックして、従業員に指導することです。そのため各都道府県は定期的に食品衛生責任者に向けた講習会を開催しています
 この講習会の参加については努力義務とされていますので、受講しなければ失効するというわけではありませんが、できるだけ受講するのが望ましいでしょう。

⑤講習会の予約はお早めに

 講習会は1日で終わる簡単なもので開催回数も比較的多いですが、都市部などでは予約枠がいっぱいになってしまって受講できないことがあります。開店のスケジュールが決まっている場合は、余裕をもって予約しておく方が良いでしょう。

 講習会の受講料は各都道府県や自治体ごとに異なっていますので、より安い料金で講習会を受講したい場合は近隣の自治体の講習会料金を調べてみることをお勧めします。

飲食店営業許可申請に間に合わなかったら?

 飲食店営業許可申請には食品衛生責任者の選任が必要ですが、スケジュール的にどうしても講習が間に合わないこともあり得ます。
 その場合、自治体によっては直近で受講する誓約書を提出することで営業許可申請を受け付けてもらえることがありますので、自治体に相談してみましょう。

⑥まとめ

飲食店営業許可申請には食品衛生責任者の選任が必要

食品衛生責任者になるには国家資格か講習の受講が必要

講習会は早めに予約しておこう

 極端な話をすると、飲食店は食品衛生責任者を置いて店を構えれば開業できます
 必要な有資格者は食品衛生責任者だけなので、調理師免許を持っていないとダメ!ということはありません。

 問題となるのは人の要件ではなく、物の要件がほとんどです。
 物の要件については後日お話ししますが、まずは食品衛生責任者を選任できるようにしておきましょう。

 弊所では飲食店営業許可申請、風俗営業許可申請、会社設立、補助金申請サポートなどのお手伝いも承っております。

 初回相談は無料で承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。