風俗営業許可申請の落とし穴 学校や病院には要注意!

 先日、外国籍のお客様からご依頼を受けてキャバクラの営業許可申請を管轄の警察署に提出してきました。

風俗営業の許可申請の特徴は、多数の図面を提出する必要がある点です。弊所ではお客様のお店を私が直接測量し、CAD(図面作成専用のパソコンソフト)を使って図面を仕上げております。申請に必要な図面の多くはお店の内装や大きさに関するモノなのですが、1枚だけ縮尺の小さい図面が必要になります。

 縮尺1/1000の住宅地図を用意して作成するこの図面は、「営業所を中心とする100m半径略図」と呼ばれます。私にとってはこの図面が、もっとも慎重に作成する図面と言っても良いかもしれません。その理由をご説明しますね。

①「営業所を中心とする100m半径略図」とは?

 読んで字のごとく、出店するお店を中心にして半径100mの円を描いた図面です。ここでいう半径100mの円というのは「お店の中心から」ではなく「お店の壁面から」100mの円を描くので、お店の壁に沿って凸凹した円を描くことになります。

 そしてこの図面に、「用途地域」と「保全対象施設」を調べて記入していきます。

 「調べて記入する」とあっさり書きましたが、これが大変なんです。「用途地域」については市区町村が公開している都市計画図を見て判断できるのですが、「保全対象施設」については直接、一軒一軒の建物をしらみつぶしに調べる以外ありません。もし保全対象施設を見落としてしまうと、そもそも風俗営業が許可されない土地で許可の申請をすることになってしまう可能性があるからです。

②保全対象施設とは?

 風俗営業を行うお店は、保全対象施設から100m以上離れている必要があります。言い換えれば保全対象施設から100m圏内では、風俗営業の許可は下りないということです。

 どんな建物が保全対象施設に該当するかは各都道府県の条例によって異なってきますが、主に学校、保育園、病院、図書館などが対象となります。千葉県では病院、有床診療所、学校、大学、保育所、幼保連携型認定こども園、児童福祉施設、及び図書館が条例によって保全対象施設とされています。

 ようするに子供たちが通う学校や、病気の人が入院している病院の近くに風俗店を出してはダメ!ということです。風営法の目的については以前に取り上げていますので、チェックしてみてくださいね。

③出店予定地の事前調査は慎重に!

 私がお客様とお話ししていて、よく聞くフレーズがあります。

「隣のお店は許可が出たよ」

「〇年前まで、ここらにはにキャバクラがあったんだ」

「不動産屋さんはココで営業許可取れると言ってたよ」

 こういった話は本当によく聞きます。ですが、私は必ず保全対象施設の実地調査を行うようにしています。もしかしたら新しく保育園や児童福祉施設ができているかもしれませんし、雑居ビルの一角に大学のサテライトオフィスが入居しているかもしれません。建設現場の工事予定も全てチェックし、何が建つか分からなければ役所の担当部署に行って調べたりもします。保全対象施設がまだ完成前で、工事中だったとしても許可は下りなくなるからです。

 わざわざ一軒ごとに調査するのは大変ですが、そんなこと言ってられません。後になって保全対象施設の見落としに気付くのだけは、何としても避けるためです。

④まとめ

風俗営業許可申請では複数の図面を作成して提出する必要がある

保全対象施設から100m圏内では風俗営業はできない

開店予定地の周辺は丁寧な事前調査が必要

 一口に病院と言っても、保全対象施設に該当するかどうかは病床数などから判断されるので、クリニックや小さな医院がすべて保全対象施設とは限りません。また都道府県ごとの条例で扱いが異なっているので、条例のチェックも必要になります。

 提出する図面としては営業所を中心とする100m半径略図だけでなく、店舗平面図、客席求積図、照明音響設備図などがあります。特に客席求積図は警察(又は浄化協会)が行う構造検査の結果と、提出図面に誤差があった場合は再提出を指示されることもあります。

 図面作成は手書きではなくCADで作成することが望ましいですので、ソフトの扱いに不慣れな場合は時間がかかってしまうかもしれません。

 弊所では出店予定地の実地調査、レーザー測定器を用いた測量と図面作成、申請書作成を一貫して承っております。風俗営業許可申請をしたいけど、やり方がわからない、図面が作成できない、申請書の書き方が不安、そんな時はぜひ弊所までお問い合わせください。